二世帯住宅を検討している方の中には、「うまく住み分けできるか不安」「事前に何を話し合っておけばいいの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
本記事では二世帯住宅の間取りについて、ステーツの注文住宅の実例を元に解説しています。紹介する内容を参考に、疑問を解消して、理想の暮らしを実現しましょう。
二世帯住宅の間取りの種類
・完全分離型
・部分共有型
・完全共有型
それぞれのタイプの特徴は下表の通りです。
完全分離型
完全分離型の二世帯住宅とは、玄関やキッチン、浴室など、すべての設備を世帯ごとに独立させた間取りです。上下階で世帯を分ける上下分離型プランと、左右で分ける左右分離型プランの2種類があります。
左右で分けるタイプの二世帯住宅は、玄関やキッチン、お風呂など、すべての生活空間を左右に独立させた間取りです。互いに気兼ねなく暮らせるだけでなく、一方の住まいが空いた場合に家賃収入を得る賃貸住宅としても活用できます。
上下階で分けるタイプの二世帯住宅は、左右で分けるタイプとは異なり、階別で暮らし分けをする間取りです。親世帯が階段のない1階に暮らすことで、足腰が弱くなっても安心して生活できます。
部分共有型
部分共有型の二世帯住宅とは、玄関やキッチン、浴室などを共有する二世帯住宅です。「玄関のみ共有する」「玄関とお風呂だけ共有する」「玄関とリビングのみ共有する」など、共有する部分と分離する部分をご家族のニーズに合わせて自由に選択できます。
完全共有型
完全共有型の二世帯住宅とは、個室(部屋)を多くし、LDK・水回りなどは全て共用とした間取りです。家族が顔を合わせる機会が必然的に多くなるため、同居感が強く、コミュニケーションが活発になりやすいのが特徴です。
二世帯住宅の間取り実例5選
以下ではステーツが建てた二世帯住宅の間取り実例をご紹介します。
玄関を2つ設けて上下で暮らす間取り
1階が親世帯、2階が子世帯という、プライバシーを重視した完全分離型の二世帯住宅です。
玄関、水回り、キッチン、リビングに至るまで、全てが独立しているので、互いの生活に干渉することなく快適に暮らせます。
ご両親が所有していた土地を活かして建てられたこの住まいは、88.84坪の敷地に、若夫婦と親夫婦の4台分の駐車スペースも確保しています。
完全分離型とはいえ、世帯間を行き来できない間取りは建築基準法の規制があるため、玄関ホールに出入り口を設置することで、問題をクリア。玄関もそれぞれ2つずつ用意し、玄関ホールからそれぞれの居住空間に出入りできるようにしました。
1階と2階で生活空間が完全に分離されているので、プライバシーもしっかり確保。家族それぞれのライフスタイルを尊重しながら、快適に暮らせる二世帯住宅です。
親世帯は平屋+子世帯は2階建ての左右分離型の間取り
左右対称に2つの住空間を配置した、左右分離型の二世帯住宅の間取りです。
親世帯の部屋は一部2階にもありますが、1階部分はほぼ平屋。右側の若世帯は2階建てとなっています。
それぞれの住空間には、玄関やキッチン、浴室、トイレ、LDK、和室、洋室が設けられています。
左右に独立した住空間を設けているため、プライバシーを確保しやすい間取りです。親世帯はほぼ平屋なので、バリアフリー設計になっています。
和室を部分的に共有した柔軟性の高い間取り
左右+部分共有(和室)の二世帯住宅の間取りです。和室は、3枚の建具を開けると9帖の共有和室になります。ニーズに合わせて和室を柔軟に活用できる点が魅力です。
それぞれの住空間には、共有和室を中心に、玄関やキッチン、浴室、トイレ、LDK、和室、洋室が設けられています。プライバシーを確保しながら、家族間のコミュニケーションも大切にできる間取りです。
玄関のみ部分共有し世帯同士の距離感を確保した間取り
こちらは、1階と2階をそれぞれ独立させ、共有部分の玄関には大容量のシューズクロークを設置した事例です。
この住まいのポイントは、共有玄関と大容量のシューズクローク。限られたスペースを有効活用するため、シューズクロークはウォークスルータイプを採用しました。大容量なので、両世帯の靴や外遊び道具などをたっぷり収納できます。
玄関LDK・水回り・玄関などを部分共有した間取り
少し広めの親御様用のお部屋を1階につくり、他は全て共有して暮らす半二世帯住宅の間取りです。
限られた延べ床面積32.93坪の中で、プライバシーと共有スペースのバランスをうまく取っています。
玄関は共有スペースですが、シューズクロークを併設することで、靴や外遊び道具なども収納できます。
玄関脇には親御様の個室を配置し、生活リズムの違いがあっても独立した空間で過ごせるように配慮しています。
親御様の個室にはミニキッチンを設置。ちょっとした炊事や軽食を別々にすることもできます。収納も多く設置することで、ワンルームマンションのような利便性を確保しました。
二世帯住宅に必要な広さ
二世帯住宅の広さの目安として、国土交通省が定める「居住面積水準」が参考になります。
家族構成や住む場所によって異なりますが、健康で文化的な生活を送るために最低限必要な住面積は以下のように算出します。
・1人暮らし:25㎡
・2人以上:10㎡×世帯人数+10㎡
従って、親世帯2人+子世帯3人の合計5人で暮らす場合、
10㎡×5人+10㎡=60㎡
つまり、5人家族の二世帯住宅では最低でも60㎡(約18坪)の広さの確保が推奨されているとわかります。
ただし、これらはあくまでも最低水準であり、郊外で余裕を持った生活をするには、以下の面積が必要とされています。
・1人暮らし:55㎡
・2人以上:25㎡×世帯人数+25㎡
5人暮らしの場合、150㎡(約45坪)です。
居住面積水準はあくまでも目安です。家族構成や希望する生活スタイルによって必要な広さは異なります。
家族の人数が多いほど、洗濯物や日用品などの収納スペースも必要になるでしょう。子供部屋を設けたい場合は、6帖(約9.72㎡)程度の広さの確保が必要です。
二世帯住宅を建てる際には家族構成や希望する生活スタイル、間取りの種類などを考慮し、適切な広さを選ぶことが大切です。
二世帯住宅の費用相場
二世帯住宅というと、「家族が多くて大きな家」というイメージが先行し、建築費も単世帯用の一般的な住宅に比べて高額なイメージを抱きやすいものです。
実際の二世帯住宅の費用相場は標準仕様で施工面積によるものや、ご要望や土地の状況により必要工事内容が変わります。
例えばステーツで二世帯住宅を建てる場合の費用目安は次の通りです。
建物本体だけでなく、本体工事とは別の付帯費用や一般的にオプションとなる設備などもこの費用には含まれています。
このように、施行会社によってはコスパ良く二世帯住宅を実現することが可能です。ステーツの二世帯住宅についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ無料のパンフレットをご覧ください。
二世帯住宅の間取りを考えるポイント
二世帯住宅を建てる際、多くの方が「完全分離(左右分離・上下分離)にするか、部分共有にするか」「部分共有にするのであれば、どこを共有にするか」で悩むのではないでしょうか。
そこで今回は、二世帯住宅の最適な間取りを選ぶための5つの判断基準をピックアップしました。これらの基準を参考に、家族にとって理想の二世帯住宅を実現してください。
二世帯の生活リズム
二世帯住宅の間取りは、単に予算だけを考えるのではなく、親世帯と子世帯のライフスタイルや生活リズム、そしてお互いの関係性をしっかりと考慮する必要があります。
快適な二世帯同居を実現するためには、特に生活リズムの違いへの配慮が重要です。
たとえ親と子の仲が良くても、活動時間帯が異なると、生活音がストレスになる可能性があります。
親世代の方が就寝時間が早く、子世帯が夜遅くまで仕事や趣味で外出する場合、子世帯の帰宅時の音や振動が、親世代の睡眠を妨げる可能性があります。
二世帯の生活リズムが異なる場合は「部分共有型」か「完全分離型」にすると、ストレスが軽減されます。
どのような間取りを考える場合でも、まずは親世帯・子世帯それぞれのライフスタイルを事前に把握することが大切です。
介護の必要性
介護の必要性がある場合は、近くで様子を見守ったり世話したりしやすい「共有型」か「完全同居型」が適しています。
また、訪問介護・デイサービスなど訪問・通所の介護サービスを受ける場合は、以下をあらかじめ配慮すると、暮らしやすくなるでしょう。
・介護スタッフの出入りがしやすい位置に居室を配置する
・玄関近くに手洗い場を設置する
・車いすが乗り入れやすいスロープや動線を確保する
・他の家族が介護スタッフの出入りに気を使わなくて済む間取りにする
家族によって希望や状況はそれぞれ異なります。予算やスペースなども気を配りながら、将来を見据えたプランを検討しましょう。
子育ての連携
二世帯住宅で快適に暮らすには、間取りを決める前に、親世帯が子育てにどこまで加わるかを話し合っておくことが重要です。
よく話し合わずに二世帯住宅を建ててしまい、子育ての連携がうまくいかず、不満が溜まるケースは少なくありません。
共働きで日中の子育てを両親に任せたい場合やコミュニケーション重視で子育てに協力したい場合は、完全共有型や部分共有型の間取りがおすすめです。
一方、子育ては連携せず、コミュニケーションだけを重視したい場合は、プライバシー性を重視した間取りがおすすめです。
子育てに親世帯がどこまで参加するのか、間取りづくりの前に話し合っておきましょう。
プライバシー
プライバシーを確保しやすいかどうかは間取りの種類によって異なります。プライバシーを軸に注文住宅を決める場合、
・プライバシーを重視する場合は、完全分離型
・コミュニケーションを重視する場合は、完全共有型
・その中間をとる場合は、部分共有型
といった選択肢もあります。
お互いのライフスタイルに合わせて、プライベートスペースと共有スペースのバランスを調整することも大切です。
趣味や個人の時間を重視するライフスタイルの場合、プライベートスペースが少ないと不満やストレスが溜まるでしょう。しかし共有スペースが少なすぎると、家事や子育ての連携、将来の介護が難しくなります。
二世帯同居のメリットを活かしつつ、お互いにストレスを感じない距離感を考えてみてください。
土地の面積やコスト
二世帯住宅を建てる際は、土地の広さも重要になります。
二世帯住宅は大きく、左右分離型と上下分離型に分けられますが、左右分離型の場合、広い土地が必要になることが多いです。それに伴い取得費用もかかると考えましょう。
また、土地の購入や住宅の建築など、総コストを踏まえ親からの資金援助を検討する方も多いはずです。
両親や祖父母から資金の贈与を受ける場合、金額によっては贈与税が課税される可能性があります。
贈与税とは、年間110万円を超える財産の贈与を受けた場合に課税される税金です。
贈与税を節税する際、「住宅取得等資金の非課税制度」を利用できます。この制度を利用するには、以下の条件を満たすことが必要です。
・贈与を受けた人が18歳以上であること
・贈与を受けた人が住宅の新築、取得、増改築に資金を使用すること
・贈与される金額が一定額以下であること
2024年以降の住宅取得等資金の非課税措置の限度額は以下の通りです。
・質の高い住宅を取得等する場合:1,500万円
・その他の場合:1,000万円
質の高い住宅とは、省エネ性能や耐震性能などの基準を満たした住宅を指します。贈与を受ける場合は金額や住宅性能などに注意しましょう。
二世帯住宅で事前に話し合っておくべきこと
二世帯住宅で円満に暮らすためには、事前にしっかりと話し合い、お互いの意見を尊重することが重要です。特に、以下の3点については話し合っておくことをおすすめします。
生活コストの負担
固定資産税や光熱費、食費などの生活費を世帯ごとに負担するか、人数割りで負担するかなどを話し合いましょう。修繕費などの突発的な出費についても、どのように負担するかを決めておくことが重要です。
生活コストの負担方法について話し合っておかないと、後々トラブルになる可能性があります。特に、固定資産税は毎年かかる大きな支出なので、事前にどのように負担するかを明確にしておくことが重要です。
家事の分担
完全共有型や部分共有型の場合は特に、掃除や洗濯、料理などの家事をどのように分担するかを話し合いましょう。育児や介護などがある場合は、どのように分担するか、併せて話し合っておくことが重要です。
家事の分担について話し合っておかないと、どちらか一方の負担が大きくなってしまい、不満に繋がる可能性があります。お互いのライフスタイルや体力などを考慮し、公平な分担方法を話し合ってみてください。
親世帯からの支援
親からの支援で住宅を購入する場合、贈与税の非課税措置を活用することで、税金を節約できます。
2024年度の税制改正により、この非課税措置は2026年末まで3年間延長されました。ただし、この非課税措置を利用すると、将来の相続税対策に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
贈与税非課税枠を使い過ぎると、将来の相続時に課税される相続財産が増えてしまうことも。また、贈与税非課税措置を利用した場合、一定の特例控除が適用されない場合があります。
贈与税非課税措置を利用する前に、将来の相続税対策についても十分に検討することが重要です。
まとめ
二世帯住宅の間取りを考える際には、プライバシーの確保やコミュニケーションスペース、介護の必要性などを考慮することがポイントです。選択する間取りによって必要な広さや予算は変わる点にも注意しましょう。
二世帯住宅を建てる際には、モデルハウスや完成見学会を実際に訪れたり、実績が豊富なハウスメーカーに相談したりすると、より具体的に住まいのイメージが沸きます。
ステーツでは、プランナーがご家族一人ひとりの想いに寄り添って、納得いくまで二世帯住宅のプランをご提案いたします。ぜひお気軽にご相談ください。