二世帯住宅での暮らしは、家族内のトラブルや配慮の仕方などについて不安に思われる方も多いのではないでしょうか。これから二世帯住宅を検討する場合、あらかじめ知っておくことで回避できるトラブルもあります。
暮らしやすい二世帯住宅の実例をもとに、メリットはもちろん、トラブルが起きないようにするための対策方法をご紹介します。
- 二世帯住宅のデメリットと、トラブルを避けるための注意点
- 1.プライバシーが保てない
- 2.生活のスタイルが異なるので、ストレスを感じてしまう
- 3.光熱費や生活費の分担がしづらい
- 4.相続時にトラブルになる可能性がある
- 二世帯住宅のメリット
- 1.建築費を抑えられる
- 2.子育てや家事、介護を協力して分担できる
- 3.光熱費などの生活コストを抑えられる
- 4.相続税を抑えられる
- トラブルを避けるための注意点とポイント
- 1.家族の意見を聞き、不満が残らないようにする
- 2.あらかじめ共有する場所を決めておく
- 3.親がいなくなった場合のことも想定する
- 二世帯住宅の事例
- 事例01:上下分離型の二世帯住宅
- 事例02:玄関のみ部分共有型の二世帯住宅
- 事例03:玄関と水回り、リビングなど部分共有型の二世帯住宅
- まとめ
二世帯住宅のデメリットと、トラブルを避けるための注意点
まず最初に、二世帯住宅のデメリットや、よくあるトラブルのケースをご紹介します。
1.プライバシーが保てない
二世帯住宅の間取りによっては、生活上のプライバシーが保てず、ストレスに感じてしまうことがあります。
原因は、世帯ごとの暮らしの独立性が低いことが大きく関係しています。特に共有スペースが多い場合は、不満度が高くなる傾向があるようです。
二世帯住宅は共有スペースの割合によって、大きく3つの分類があります。
完全同居型…生活スペースを分離していない
部分共有型…玄関やリビングなど、一部のみを共有している
完全分離型…共有スペースがなく、それぞれの世帯が完全に独立している
2019年に実施されたエニワン株式会社の『二世帯住宅に関するアンケート調査』によると、部分共有型が43.4%で最も多い結果になりました。その次に完全同居型が31.3%、完全分離型が25.2%と続いています。
画像引用元:『二世帯住宅に関するアンケート調査』
画像引用元:『二世帯住宅に関するアンケート調査』
共有している場所については、一番多いのが玄関(46.9%)、その次がキッチン(28.2%)、お風呂・トイレ(22.9%)という結果になりました。
建築費用を抑えるため、一部を共有するケースが多いようです。
株式会社住環境研究所の『同居・二世帯の住まいづくりと暮らし満足度調査』(2012)によると、世帯ごとに専用で持った方がよいと思う空間、設備はトイレ、キッチン、冷蔵庫、洗面台、納戸などの収納という順になりました。
2.生活のスタイルが異なるので、ストレスを感じてしまう
いざ同居をはじめてみると、生活の時間帯などが違うことにストレスを感じてしまうケースが多いようです。
例えば、リビングを共有している場合、朝食や夕食の時間帯が違ったり、片方が就寝中に早朝や夜間の生活音が気になったりすることなどが挙げられます。
キッチンやリビングを共有している場合は、使い方などでお互い気を遣って疲れてしまうということもあるので、そういったことを避けたい場合は、子世帯専用のミニキッチンやリビングを別で用意し、時間帯によって使い分けるのもおすすめです。
3.光熱費や生活費の分担がしづらい
光熱費や生活費の面でも、世帯ごとでの分担についてトラブルになってしまうケースがあります。
例えば光熱費のメーターが共有の場合、公平に折半していても、使い方によっては一方が不満に感じてしまうことがあります。またキッチンや冷蔵庫を共有している場合は、食費の分担も考える必要があります。
不満につながりそうな場合は、あらかじめメーターを分けたり、完全分離型を検討することが重要です。
キッチンを共有にする場合も、家事を含めて分担できるメリットもあるのでどちらがいいかは一概には言えません。
ご家族一人ひとりのご意向を確認しながら検討することをおすすめしています。
4.相続時にトラブルになる可能性がある
二世帯住宅が親と子の共有名義の場合、相続時に遺産分割の方法でトラブルになる可能性があります。
親が亡くなった場合、二世帯住宅の共有持分は相続の対象になります。兄弟姉妹がいて、他に遺産がなければ、遺産を分割するために現金を用意するか、用意できない場合は家を売却しなければいけないこともあります。
二世帯住宅のメリット
もちろん、二世帯住宅はデメリットばかりではありません。ここからは、二世帯住宅を建てる場合のメリットをご紹介します。
1.建築費を抑えられる
二世帯住宅は、一世帯向けの住宅と比較すると建築費用が高くなりますが、親世帯と子世帯それぞれで住宅を建てるよりも費用が抑えられることが多いです。
建築費については、親世帯と子世帯がそれぞれローンを組むこともできますし、親の援助を受けることもできるので、子世帯だけで住宅を取得する場合よりも資金計画の幅を広げることが可能になります。
また建築費以外でも、二世帯住宅を建てる土地が親の土地の場合、子世帯にとっては土地代が不要になるメリットもあります。
2.子育てや家事、介護を協力して分担できる
二世帯で暮らす場合、子世帯にとっては子育てや家事を親世帯にサポートしてもらえるというメリットがあります。また親世帯にとっては、介護が必要になった場合にサポートしてもらえるというメリットがあります。
3.光熱費などの生活コストを抑えられる
光熱費や生活費を世帯ごとで分担する場合、トラブルになる可能性をデメリットとしてご紹介しましたが、逆に、光熱費の基本料金などは1軒分を2世帯で分割すれば生活コストを抑えられます。
光熱費以外でも、いろいろなサービスをまとめて契約することで出費を抑えることができるので、生活費の削減ができます。
4.相続税を抑えられる
土地を相続する場合、相続税の負担を減らすことができる場合があります。
二世帯住宅で相続する土地(上限330㎡)は「小規模宅地の特例」という制度の対象となり、相続税の対象となる課税価格を最大80%減額できるというものです。
ステーツでは、3世代がそれぞれ楽しめる暮らしを実現できる二世帯住宅を提供しています。
詳細ページでは、建築事例や間取りプランについて詳しく解説しているので、二世帯住宅を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
トラブルを避けるための注意点とポイント
ここまで、二世帯住宅のデメリットとメリットをご紹介しました。
ステーツではトラブルを避けるため、プランニング時に気をつけている注意点とポイントをご紹介します。
1.家族の意見を聞き、不満が残らないようにする
二世帯住宅を建てる場合は、なによりも家族みんなの意見を調整することが重要です。
しかし実際は、二世帯住宅を建てることに対して、まだ賛成できていないのに言い出せなかったり、どこか不満があっても気を遣って言えなかったりするケースはあります。
家族内だけで調整するのが難しい場合は、ハウスメーカーや住宅業者のアドバイスを参考にしていただき、できる限り不安や不満に思う点が残らないように家づくりを進めることが重要です。
もしも、打ち合わせの場では言いづらいことや不安に思うことがあった場合は、個別でプランナーにご相談ください。
私たちの視点でアドバイスをしたり、調整させていただきます。
気になることがあれば遠慮なくご相談ください。
2.あらかじめ共有する場所を決めておく
二世帯住宅を計画する際は、どこまでを共有し、どこからは分離するのかを決めることになります。
分離型にする場合も、共有部分や通路など、法令上どこかに行き来できる部分を設置する必要があります。
そのため、まずは共有する場所を決めておくと、プランニングがしやすくなります。
それを避けたい場合は、どこか一部を共有した間取りにさせていただきます。
3.親がいなくなった場合のことも想定する
将来的には子世帯だけで暮らすことも想定しておく必要があります。
親世帯の居住スペースが空いた場合、夫婦で活用したり、いずれ子どもが結婚する際に住んでもらうなどが考えられます。
場合によっては、完全分離型にして賃貸として貸し出しができるようにしたり、全て売却して住み替えを行うことも視野にいれておく必要もあります。
ステーツでは、3世代がそれぞれ楽しめる暮らしを実現できる二世帯住宅を提供しています。
詳細ページでは、建築事例や間取りプランについて詳しく解説しているので、二世帯住宅を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
二世帯住宅の事例
実際にステーツでつくった二世帯住宅について実例をご紹介します。ご家族ごとの要望にあわせてプランニングを行っていますので、参考としてご覧ください。
事例01:上下分離型の二世帯住宅
家族構成:若夫婦+子供2人、親御様夫婦
敷地面積:293.69㎡(88.84坪)
延べ床面積:52.23坪
1つ目の事例は、1階が親世帯、2階が子世帯という完全分離型の二世帯住宅です。
程よく距離感を保てるように、玄関から水回り、キッチンやリビングまで全て別になっています。
こちらは、もともとご両親が所有している土地を活かして建てられました。88.84坪の敷地に若夫婦と親夫婦の4台分の駐車スペースを確保しています。
2つの玄関で行き来できる分離型
完全分離型の二世帯住宅ですが、世帯ごとに行き来できない間取りにすると法律上規制があるので、玄関のホールに出入り口を設置しました。
1階の親世帯の専用LDK
完全分離型なので、それぞれの世帯にキッチンや浴室などの設備があります。
親世帯には10.5帖のダイニングキッチンに、4.5帖の畳リビングを併設しました。
生活音に配慮した2階の子世帯の間取り
2階は子世帯の専用スペースとなっています。19.2帖のLDKに、夫婦の寝室と子供部屋が2つあります。
2階の音が下に響くケースがあるので、生活音のトラブルを避けるために間取りの配置も考慮しています。
また子供部屋は、お友達が遊びに来た時にうるさくなる場合があるため、玄関の上に配置しています。
事例02:玄関のみ部分共有型の二世帯住宅
家族構成:若夫婦+子供2人、親御様夫婦+子供1人
敷地面積:330.68㎡(100.03坪)
延べ床面積:57.15坪
2つ目の事例は、玄関のみ共有している部分共有型の二世帯住宅です。
1階と2階それぞれを分割し、共有の玄関には大きめのシューズクロークを設置しました。
共有部分の玄関と大容量のシューズクローク
世帯ごとの距離感を確保するため、共有部分は玄関のみとなっています。
また、1つの玄関を共有するので、両世帯の靴などをしっかりと収納できるように、大容量のウォークスルータイプのシューズクロークを設置しました。
デメリットは、玄関が共有ですと、靴やそのほかの収納物も混在しますので、使い方に気を遣うかもしれません。そこが気にならない場合は採用していただきます。
それぞれの世帯のLDKが配置された1階
こちらの事例では、同じ1階に世帯それぞれのリビングやキッチンを配置しています。
LDK同士の間には収納を配置することで、生活音が響かないように配慮しました。
今回の事例では、玄関を共有にすることで広さを節約しました。
2階は寝室のみで配置
2階もまた、世帯それぞれの寝室を配置しています。
部屋同士が隣り合う部分は、収納や階段を挟むことで、音への配慮をしています。
また、リビングの上に配置する寝室を同じ世帯のものにすることで、生活リズムの違いによる生活音のストレスを減らすように工夫しています。
事例03:玄関と水回り、リビングなど部分共有型の二世帯住宅
家族構成:若夫婦+子供1人、親御様1人
敷地面積:321.96㎡(97.39坪)
延べ床面積:32.93坪
3つ目の事例は、親御様が1人だけ同居するケースで、玄関と水回り、リビングも共有しています。
ほとんどの部分を共有しているタイプの半二世帯住宅です。
シューズクロークのある共有の玄関
共有で使う玄関は、シューズクロークを併設することで、靴などの収納をしっかりできるようにしています。
また玄関脇に親御様の個室を配置し、生活リズムの違いがあっても独立した空間で過ごせるように配慮しています。
完全分離型にすると、広さが必要になり、建築コストも上がってしまいますが、共有部分を増やすことでコストダウンできます。
お風呂やランドリールームも共有ですが、各居室への動線を工夫することで、プライバシーに配慮しています。
開放感のある共有スペースのLDK
共有スペースのLDKは、天井を高くして開放感のある空間にしています。
吹き抜けのような2階部分は小屋裏収納として活用しています。
天井近くにも窓を設置することで、採光もしっかりと取れます。
ミニキッチンのある個室
親御様の個室を広めにし、ミニキッチンを設置することで、ちょっとした炊事は分けることもできるようになっています。
収納も多く設置することで、ワンルームマンションのような利便性を確保しました。
家族の意見を聞きながら、どこまで共有するか決めたいと思います。
まとめ
二世帯住宅は共有する範囲によって、様々な間取りのバリエーションがあります。
注文住宅であれば、敷地面積や予算、ご家族のご意向などを調整しながら、最適な間取りを作ることができます。
二世帯での共同生活に対しては、デメリットやトラブルの不安を感じてしまう方もいらっしゃると思いますが、メリットも多いので、トラブルが起きないようにプランニングすることが大切です。
ステーツではプランナーがご家族一人ひとりのお気持ちに寄り添って、ご提案をさせていただきます。