住宅性能に関して「ZEH基準」や「ZEH住宅」などの言葉が使われることがありますが、具体的にどういった性能の住宅なのでしょうか。
ZEH住宅のメリットとデメリットや、ステーツでの事例をわかりやすくご紹介します。
ZEH住宅とは?
そもそも、ZEH住宅とはどういった住宅でしょうか?
ZEHとは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語で、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味になります。つまり、家庭で使用するエネルギーと、太陽光発電などで創るエネルギーをバランスして、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする家ということです。
では、「1年間で消費するエネルギーがゼロ以下の家」とは、どんな家なのか、具体的にご説明します。
1.気密性能や断熱性能が高い(断熱)
住宅自体の気密性能や断熱性能が高く、冷暖房などの消費電力が少ない住宅であること。
2.省エネルギー(省エネ)
住宅で使用するエアコンや給湯システム、照明などの機器自体がエネルギー効率が高いものを使用していること。
3.エネルギーが創れる(創エネ)
太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーシステムを備えていること。
ZEH住宅は、以上の「断熱」「省エネ」「創エネ」の3つが必要になります。
家自体の断熱性能が高く省エネであることはもちろん、住宅で使用するエアコンや給湯システムなども省エネで、さらにエネルギーを創り出すことができて、それが消費しているエネルギーを上回る必要があります。
また、HEMS(ヘムス)という、住宅で消費しているエネルギーと太陽光発電等で創られたエネルギーを確認できるシステムも必要になります。
ただし、条件があてはまれば、太陽光発電を導入しなくてもいい場合もあります。
ZEH住宅のメリット
環境に配慮されたZEH住宅ですが、住む人にとってはどんなメリットがあるのでしょうか。
1.光熱費などのランニングコストが安くなる
ZEH住宅は家自体が断熱性能が高く、さらに使用しているエアコンや給湯システムなども省エネ性能が高いので、通常の住宅よりも光熱費などの電気代がかなり安くなります。
2.家の中が1年中快適な温度で過ごせる
家自体が断熱性能が高いため、夏の暑さ、冬の寒さの影響を受けにくく、冷暖房が効きやすいので、1年中快適に家の中で過ごすことができます。
ヒートショックや結露によるカビなども防げるので、健康面でのメリットもあります。
3.災害時に電力を確保できる
ZEH住宅は、自宅にある太陽光発電システムなどで発電した電気を、災害などの非常時に使用することができます。
また、蓄電池を導入した場合には蓄電することもできます。
4.住宅を高く売却することができる場合がある
住宅の省エネルギー性能を評価する「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」で認証されたZEH住宅は、家の価値が高まるので、高く売却できる場合があります。
5.補助金がつかえる
新築でZEH住宅を建てる際、国からの補助金を利用することができます。
補助金額はZEH住宅の性能によって異なりますが、補助金の申請を行い、審査されて交付が決定すると初期費用の一部を補助金として受け取ることができます。
ZEH住宅のデメリット
ZEH住宅を導入する場合、たくさんのメリットがありますが、どんなデメリットがあるのでしょうか。
1.建築コストが高くなる
ZEH住宅は一般の住宅よりも断熱性能が高く、省エネ・創エネの設備も必要になります。
そのため、新築時の建築コストが高くなってしまいます。
2.設計時の間取りや設備に制限がある
断熱性能や省エネ性能の基準を満たすためには、設計時の間取りや使用する設備が制限される場合があります。
例えば、太陽光パネルを設置すると屋根が重くなるので、耐震の検討を行います。
検討の結果、構造の壁を確保するために窓を減らしたり、ドアの形状を変えたり、広い空間には余分に壁を作ったりすることなどが必要になる場合があるのです。
まず、一度ご希望の開放的な窓を入れて計画してみましょう。省エネ性の計算をしてみて、その窓を確保するためには何を変えれば良いのかが見えてきますので、打合せでご相談させていただきます。または、性能の良い窓を入れることで解決できる可能性もあります。
3.設備のメンテナンス費用がかかる
使用している省エネ・創エネの設備のメンテナンス費用が必要になります。ただし、エアコンや給湯システムは一般的な設備であってもメンテナンスは必要です。
また、ソーラーパネルなどの太陽光発電システムは、電力の変換などを行うパワーコンディショナーや売電メーターが消耗した際に交換が必要になります。
ZEH住宅の事例
ここからは、ステーツのZEH住宅の事例をご紹介します。地域などによってZEHの条件は異なりますので、どんな間取りでどんな設備があるのか、参考にご覧ください。
事例01:太陽光パネルでエネルギーが創れる家
家族構成:夫婦+子供2人
家の坪数:36.65坪
Ua値:0.42※ / HEAT20 G1グレード(0.48以下)相当
断熱地域区分:5地域
1つ目の事例は、できる限り断熱性能を高めて、太陽光パネルも設置し、ZEH基準を上回るHEAT20 G1グレードを達成しました。
※Ua値(外皮平均熱貫流率):住宅が外気と接する屋根や外壁、窓から室内の熱がどのくらい逃げやすいかを表す数値。小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能が高い。
ZEH基準を超えた断熱性能
「家の断熱性能を高めたい」という施主様の要望があり、断熱性能を高めてつくりました。
トリプルガラスの窓と、断熱材にはセルローズファイバーを採用しています。
それにより、UA値は0.42で、ZEH基準の1段階上、HEAT20のG1グレードを達成しました。
ステーツ標準のウレタンフォームではなく、オプションで選択できるセルローズファイバーを採用することで、断熱性能をより高くすることができました。
太陽光パネルでエネルギーを創る
また、4.8kWの太陽光パネルを設置し、エネルギーを創ることができる「創エネ」の条件もクリアしています。
設備には省エネエアコンやLEDのセンサー照明器具等も取り入れ、断熱性能と設備で「省エネ」、太陽光パネルで「創エネ」化し、ZEH住宅の条件を達成しました。
事例02:創エネなしのゼロエネルギーハウス指向型住宅
家族構成:夫婦+子供2人
家の坪数:35.95坪
Ua値:0.52 / ZEH基準(0.60以下)相当
断熱地域区分:5地域
2つ目の事例は、太陽光パネルなどの創エネ設備は設置せず、ZEH Oriented(ゼロ・エネルギー・ハウス指向型住宅)という定義でZEH住宅を達成しました。
ZEH Oriented(ゼロ・エネルギー・ハウス指向型住宅)とは
ZEH Oriented(ゼロ・エネルギー・ハウス指向型住宅)とは、断熱性能が高く、高効率な省エネルギー設備を備えた住宅のことで、都市部狭小地と多雪地域に建築された住宅に限り該当するZEH住宅の条件です。
こちらの住宅は多雪地域に該当しています。
吹き抜けがあっても省エネルギーな家
また、こちらの事例では、リビングに大きな窓のある吹き抜けを採用しましたが、ZEH住宅の断熱性能や省エネルギーの条件にあてはまるUa値をクリアしています。
高性能な省エネ設備と照明器具を採用することで、住宅で使用する消費エネルギーの削減を基準以上に達成できました。
キッチンにタッチレスの水栓を導入して節水したり、お風呂の高断熱浴槽、LED照明の調光機能もエネルギー消費の計算に関わります。
このような省エネ設備の採用は、ZEH住宅の認定にも効果的です。
まとめ
ZEH住宅だけではなく、電気代などの光熱費が高騰している中、省エネ住宅に注目が集まっています。
メリットとデメリット、合わせてご紹介させていただきましたが、やはり気になるのは住宅をつくる際の建築費ではないでしょうか。
住宅をつくる際は、どうしても建築費で比較してしまいがちですが、建築コストを下げるために性能を下げすぎてしまうと、住んだ後の光熱費が想像以上に高くなって家計を圧迫してしまうこともあります。
とはいえ、必要以上に高性能な住宅も、初期費用を回収できない場合もあります。
ぜひ比較してご検討ください。
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