窓辺でくつろいだり、本を読んだり、家の中に「小さくて居心地のいい場所」が欲しい人から注目が集まっている「ヌック」をご存知でしょうか。
ヌックは、穏やかなおうち時間を過ごしたい人におすすめのスペースです。
どんなふうに作ればよいのか、どんな使い方ができるのか、事例と合わせてご紹介いたします。
快適な居場所づくりの参考に、ぜひご覧ください。
- ヌック(イングル・ヌック)とは?
- ヌックのメリット
- 1.完全な個室とは違ったプライベート空間が作れる
- 2.デッドスペースを活用できる
- 3.いろいろな使い方ができる
- ヌックのデメリット
- 1.費用がかかる
- 2.面積がとられる
- 3.活用されない場合がある
- ヌックのタイプ
- リーディングヌック
- 書斎ヌック
- 子供用のヌック(キッズスペース)
- 階段下ヌック
- 窓ヌック
- ヌックの施工事例と間取り
- 事例01:出窓ベンチで読書を楽しむヌック
- 事例02:こもれる安心感がある和室ヌック
- 事例03:ゆるやかに隔てられたヌック
- 事例04:吹き抜けを見下ろせるヌック
- ヌックを取り入れる際の重要ポイント
- 目的を明確にする
- ゆるやかにゾーニングする
- こぢんまりとした空間にする
- 快適なヌックを作るためのアイデア
- ヌックに合わせた家具を選ぶ
- 照明でヌックの雰囲気を演出する
- 適度な収納を備える
- まとめ
ヌック(イングル・ヌック)とは?
ヌックとは、「居心地のいいこじんまりとした場所」を意味します。
もともとはスコットランド語の「ヌーク(neuk)」が語源といわれています。
中世のスコットランド住宅には「イングル・ヌック(ingle nook)」という暖炉のそばに作られた腰掛けがあり、その「暖炉脇の小さくて落ち着けるスペース」という意味から広まりました。
リビングや階段下などの一角に設けられることが多いです。
ヌックのメリット
1.完全な個室とは違ったプライベート空間が作れる
ヌックは完全な個室ではないため、リビングなどの一角で家族と過ごしながら自分だけの時間を過ごせることがポイントです。
例えば、家族がリビングでテレビをみている時、同じ空間にいながら、ゆるやかに隔てられたスペースで本を読んだり、仕事をしたり、自分の好きなことに集中することができます。
2.デッドスペースを活用できる
ヌックは基本的に小さいスペースなので、家の中のデッドスペースを活用することができます。
例えば、階段下の空間をヌックにして、子どもの遊び場や、本棚を設置して読書を楽しんだり、隠れ家のように一人時間を過ごせる場所をつくることができます。
3.いろいろな使い方ができる
ヌックはいろいろな使い方ができるのも人気の理由です。
リビングの一角に設置すれば、子供が小さいうちは遊び場として、大きくなれば大人も使える読書スペースなど、フレキシブルに使えます。
作り付けのデスクを設置すれば、子供のスタディカウンターや両親のテレワークスペースとしても利用できます。少し低い天井にしたり、空間をゆるやかに仕切るなどの工夫で、心地よく没頭できる居場所をつくることができます。
ヌックのデメリット
1.費用がかかる
形によって費用は大きく変わりますが、工事費用が追加で必要になります。
本棚や机、ベンチなど、造作の家具のデザインや難易度によっても費用が変わりますので、予算に合わせて作るものを決める必要があります。
2.面積がとられる
デッドスペースを活用することができますが、収納スペースやそのほかの間取りを削って設置する場合も多いので、優先度を確認することが重要です。
3.活用されない場合がある
いろいろな使い方ができるヌックですが、なんとなく取り入れてしまうと、あまり活用されないスペースになる可能性もあります。
また設置する場所も、共有スペースや家族が集まる場所の一角に設置しないと、使いづらくなってしまうこともあります。
ヌックのタイプ
ヌックには色々な種類があります。ここでは代表的なヌックのタイプを、一例として紹介します。
リーディングヌック
リーディングヌックは、読書に特化した、居心地の良い小さな空間です。リビングの一角や、廊下のちょっとしたスペースなど、限られた場所でも、快適な読書空間を作れます。
造り付けの本棚と、ゆったりと座れる椅子を置けば、まるで小さな図書館のような雰囲気に。読書灯の柔らかい光が、本の世界へと誘います。
リーディングヌックは、単なる読書スペースだけでなく、自分だけのリラックスできる隠れ家としても最適です。本に囲まれ、静かに自分と向き合う時間を持つことで、心のリフレッシュにも繋がります。
書斎ヌック
書斎ヌックは、自宅にいながら集中して仕事や勉強に取り組める、コンパクトなワークスペースです。快適な椅子とデスクを置けば、集中して仕事や勉強に取り組める場所に。壁に掲示板や棚を設置すれば、必要なものを整理整頓できます。
個人はもちろん、家族で共有できる書斎スペースとしても活用できます。大人は在宅ワークで、子供はオンライン学習で、それぞれが集中できる環境になるでしょう。コンパクトながらも、多機能な書斎ヌックは、現代のライフスタイルに合わせた働き方にマッチしたスペースです。
子供用のヌック(キッズスペース)
子供用のヌックは、子供たちが安全に楽しく過ごせる、自分たちだけの特別な空間です。
子供の目線に合わせた家具や、おもちゃを収納できる棚などを設置して、色彩豊かなデザインを取り入れれば、子供たちの想像力や創造性を刺激します。
子供部屋の一角に、小さなテーブルや椅子、おもちゃ箱などを置けば、自由に遊べるスペースに様変わり。ぬいぐるみや絵本を並べたり、お絵描きを楽しんだり、子供たちはきっと夢中になるでしょう。
階段下ヌック
階段下は、デッドスペースになりがちです。しかし工夫次第で魅力的なヌックに変身します。天井が低く、外界から隔絶されたような空間は、まるで秘密基地のよう。コレクションを飾ったり、デスクを置いて仕事に集中したり、子供たちの遊び場にしたりと、様々な使い方ができます。
階段下という限られたスペースだからこそ、周りの視線を気にせず、趣味の世界に没頭できるでしょう。
窓ヌック
窓際を有効活用した窓ヌックは、外の景色を楽しみながら、自分だけの時間を満喫できる空間です。
窓際で読書をしたり、お茶を飲んだり、日光浴をしたりと、過ごし方は様々。天気の良い日は、暖かい日差しを感じながら、穏やかな時間を過ごせます。忙しい日々の中で、心身のリラックスできる、特別な場所になるでしょう。
ヌックの施工事例と間取り
事例01:出窓ベンチで読書を楽しむヌック
家族構成:夫婦+子供2人
ヌックの設置場所:リビング
家族が集まるリビングの一角に、本棚と出窓ベンチを組み合わせてつくったヌックの事例です。
窓のそばで日向ぼっこをしながら、リラックスした時間を過ごすことができるヌックです。
小さなスペースで居場所をつくりたい
部屋ほどの広さは必要ないけれど、リビングに接した子供や家族の居場所が欲しいというご要望があり、家族でつかえる小さな居場所としてヌックをご提案しました。
リビングの一角、階段横に1帖+αほどの広さで、小さな小上がりのようなスペースです。
窓辺で読書を楽しめるリーディングヌック
ヌックの壁面には作り付けの棚を設置することで、お気に入りの本を収納できるようにしています。
また奥行きがあるので、個室のようなおこもり感があるのも特徴です。窓辺につくった出窓ベンチで、静かに読書やインターネットが楽しめます。
家族と程よい距離感で過ごせる居場所
また、リビングで過ごす人と同じ空間でつながりながらも、個室に入ったような場所になるようにすることで、程よい距離感を保つことができました。
事例ページ:
事例02:こもれる安心感がある和室ヌック
家族構成:夫婦+子供2人
ヌックの設置場所:リビング
2つ目の事例は、おこもり感のある小さな和室のようなヌックです。
リビングにつくった3帖の畳スペースですが、入り口をわざと狭く小さくすることで、おこもり感のある空間にしています。
畳で寝転べる安心の居場所
小上がりになった畳の空間は3帖とほどよい広さで、寝転んで過ごせるようになっています。
明かり取りの窓がありますが、照明をすこし暗めにすることで、落ち着いた雰囲気で時間を過ごすことができます。子供のお昼寝の空間としても使えます。
個室のような使い方もできるヌック
リビングに面した共用の場所として、子供の遊び場や家族の居場所はもちろん、1対1程度の来客対応もできるようにしています。
また、小上がりになっているので、段差に腰掛けてリビングにいる人とつながりながら過ごすこともできます。
事例ページ:
事例03:ゆるやかに隔てられたヌック
家族構成:夫婦+子供2人
ヌックの設置場所:階段横(キッチン前)
3つ目の事例は、階段脇につくった一人用の居場所です。
造作の棚と、ソファを設置して、居心地のいい自分の時間を過ごせるようにしました。
階段脇につくった小上がりの半個室
階段の一段目を延長してスキップフロアのように作った小上がりのヌックです。
ゆるやかに他の空間と隔てることで、半個室のような空間になっています。
家族と過ごしながらも、自分の時間を過ごせる空間としてつくりました。
リビングと閉じずにつながる個室
ヌック自体は、LDKとゆるやかに隔てられています。
床の高さがあることで、キッチンで作業している人の目線と近づくので、程よくつながりを感じることもできます。
事例ページ:
事例04:吹き抜けを見下ろせるヌック
家族構成:夫婦+子供2人
ヌックの設置場所:2階ホール(吹抜け上)
最後の事例は、2階の吹き抜けからリビングを見下ろせるヌックをご紹介します。
家族の様子や雰囲気が分かる場所で、自分の時間を過ごすことができます。
吹き抜け上の共有スペースを活用
こちらのヌックの一番の特徴は、吹き抜けを見下ろすことができる2階ホールの一部にヌックを設置したことです。
吹き抜けに設置するメリットは、1階の冷暖房を共有できるという点です。壁や扉で仕切られていないので、リビングと同様に快適な室温で過ごすことができます。
また、吹き抜けの開放感を生かした間取りにすることで、2階共有スペースの有効活用と遊び心の点で楽しめるヌックになっています。
壁に設置されたスリット窓からは、1階のLDKの様子をのぞくこともできます。
1段下がったカーペットスペース
2階のホールの床よりも1段下げてカーペット敷きにすることで、子供の遊び場や寝転んで過ごせるスペースとして使えるようにしています。
格子でゆるやかに仕切られたヌック
2階のホールとの仕切りとして使用しているのは、ランダムに配置された木の柱です。
吹き抜けの開放感をホールに残しつつ、ヌックとの仕切りに役立っています。
事例ページ:
ヌックを取り入れる際の重要ポイント
せっかくヌックを作っても、サイズや設備が適切でないと、デッドスペースになってしまうことも。快適なヌックを作るには、いくつかのポイントを押さえることが必要です。
以下ではヌックを作る際に知っておきたい、重要ポイントを解説します。
目的を明確にする
ヌックを取り入れる際は、「どのように過ごしたいか」 を明確にすることが大切です。
目的を明確にすれば、家族との距離感や理想のインテリアなど、ヌックの配置場所やデザインが具体的に決まります。「一人で静かに読書をしたい」という目的なら、少し離れた静かな場所に読書スペースを設けるといった設計が考えられるでしょう。
目的が曖昧なまま ヌックを作ると、ただの物置になってしまう可能性があります。くつろぐスペースとしてはもちろん、どのような用途でヌックを使いたいのかを具体的にイメージすることで、より快適な空間を作れます。
ゆるやかにゾーニングする
ヌックを取り入れる際は、ゆるやかなゾーニング が大切です。ゾーニングとは、空間を機能別に分けること。個室のように完全に仕切るのではなく、床の段差や天井の高さを変えたり、素材を変えたりすることで、周囲との繋がりを感じながらも、自分だけの空間を作れます。
ゆるやかなゾーニングのメリット は、開放感がありながらも、メリハリのある空間になることです。例えばリビングの一角に設けたヌックなら、家族と一緒の空間でありながら、読書や作業に集中できる静かな場所になります。
こぢんまりとした空間にする
ヌックは広すぎると、ただの部屋になってしまいます。こぢんまりとした空間にすれば、落ち着いて自分だけの時間を過ごせる、秘密基地のような場所になります。
人によって快適と感じる広さは異なりますが、1〜3帖程度を目安にスペースを確保しましょう。これくらいの広さであれば、圧迫感を感じることなく、くつろげる空間を作れます。
快適なヌックを作るためのアイデア
以下では快適なヌックを作るためのアイデアを紹介します。
ヌックに合わせた家具を選ぶ
ヌックに家具を選ぶ際は、サイズや形状に合わせたものを選ぶことが大切です。既製品ではサイズが合わない場合、オーダーメイドや限られた選択肢から選ぶ必要が出てきます。
特に窓枠を利用したヌックではサイズに注意が必要です。ヌックのサイズや形状に合わせたクッションや家具を選ぶことでより快適な空間を作れます。
照明でヌックの雰囲気を演出する
ヌックの雰囲気作りに欠かせないのが照明です。周囲より少し暗めの照明にすることで、リラックスできる落ち着いた空間が生まれます。
照明を選ぶ際は、光源の種類と光の明るさ、光のカラーに着目しましょう。照明の明るさや色を変えることで、ムーディーな雰囲気になります。明るさは本を読む際に手元が明るくなる程度が理想です。カラーは暖色系にすると温かみが出ます。
適度な収納を備える
ヌックを設置したことで、 居室が狭くなったり、収納が足りなくなったりする場合があります。特に、既存の部屋の一部をヌックにする場合は、その分収納スペースが減ってしまうことも。
収納スペースを確保する際は、階段下や廊下など、デッドスペースを有効活用することがポイントです。
まとめ
ヌックは中間的な使い方ができるので、家の中の居場所が増えて過ごしやすくなります。
まだあまり馴染みのない方も多いヌックですが、取り入れることも検討してみてはいかがでしょうか。
ステーツでは、施主様のご要望に合わせて幅広い対応が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。