プライバシーを確保しながら、自然に触れられる家で暮らしたいと憧れる方は多いのではないでしょうか。中庭のある家は、まさにそんな理想を叶える住まいです。
しかし、中庭のある家を建てるには、間取りを考える上でいくつかのポイントがあります。限られた空間を有効活用するためには、採光や通風、動線などを考慮した設計が欠かせません。
本記事では、中庭のある家の間取りを考える際のポイントやメリット・デメリットを紹介します。
- 中庭がある家の間取りは大きく分けて3種類
- L字型
- コの字型
- ロの字型
- 中庭がある家の間取り事例3選
- コの字型の間取り
- 外壁でプライバシーテラスを作った間取り
- ガレージ空間+L字建物で中庭を囲った間取り
- 中庭のある家が人気の理由【メリット6選】
- 通風や採光に優れている
- 外との繋がりが生まれ室内が開放的になる
- プライバシーを確保しやすい
- 子供やペットの安全な遊び場になる
- 多用途な空間として使える
- 二世帯住宅では生活空間を分ける役割がある
- 中庭のある家の5つのデメリット
- 建築コストが増加しやすい
- メンテナンスの手間がかかる
- 居住空間が減る
- 窓が増えて断熱性が低下する
- 動線が長くなる場合がある
- 中庭のある家の間取りを考えるポイント
- 希望の間取りを実現できる土地を選ぶ
- 利用目的を明確にする
- 外からの見え方を確認する
- まとめ
中庭がある家の間取りは大きく分けて3種類
中庭とは建物に囲まれた庭のことです。開放的な空間で、遊びや憩いの場として活用できます。
中庭がある家の間取りは大きく分けて次の3種類があります。
・L字型
・コの字型
・ロの字型
それぞれの間取りの種類を見ていきましょう。
L字型
L字型とは、建物がL字型になっており、中庭が2つの外壁に面している間取りです。コの字型やロの字型と比べて建物の凹凸が少ないため、建築コストを抑えられるメリットがあります。
L字型の中庭は建物で囲まれる部分が少なく開放感がある一方、外からの視線が気になるデメリットもあるため、立地条件などを踏まえて検討しましょう。
対策としては以下が挙げられます。
・L字型という形状を活かして、庭の一部を隠す
・視線の流れを制御した奥行き感を演出する
・建物の影を利用して強い日差しを遮る
これらの対策でL字型であっても、住居のプライバシーを守れます。
コの字型
「コの字型の間取り」は、「コ」の字で囲まれた部分に中庭があり、三方向が建物で囲まれています。中庭が建物に囲まれているため、プライバシーを重視できるメリットがあります。
また、中庭と敷地外、中庭と家の中の行き来も間取りのポイントの一つ。コの字型の中庭では外から中庭に出入りできます。
ガーデニングや家庭菜園をしたい方にとって、外からの視線を感じにくいコの字型は人気の間取りです。
ただし、コの字型の間取りにもデメリットはあります。中庭がない正方形や長方形の住宅と比較すると形状が複雑になり、建築費用が高くなる点です。建築費用を抑えるには、形状をシンプルにしたり、壁・窓、屋根の面積や素材などのコストダウンを検討しましょう。
ロの字型
ロの字型は、建物で中庭を完全に囲んだ間取りです。家の中心部分に中庭が配置されるため、他のどの形よりもプライベート感が強いのが特徴です。家の中心部分に中庭が配置されるため、光が差し込みにくい建物の中心部分にも光が入り、家全体を明るい雰囲気にできます。
リビング・ダイニングを中庭に面した間取りにすれば、開放感も抜群。中庭にテラスやデッキを設置すると、まるでセカンドリビングのような空間を楽しめます。
一方、建物の形状が複雑になるため建築費用が高くなる可能性がある点には要注意です。
ロの字型はプライベートな空間を重視したい方や、開放感のある住まいを実現したい方に人気です。
中庭がある家の間取り事例3選
ここではステーツで建築した、中庭がある家の間取りの実例を紹介します。
コの字型の間取り
延床37.15坪
フェンスで中庭を目隠ししたコの字型の間取りです。コの字型でありながらも外からの視線を遮り、プライバシーに配慮しています。
リビングから繋がるテラスの床はウッドデッキを採用しています。
リビング・ダイニング・和室から中庭に窓があるのが特徴的。LDKそれぞれの繋がりを活かしながら、家の中に光を取り込めます。
庭に面した大きな窓は日中はたっぷりと自然光を取り込み、部屋全体を明るく照らします。窓を開ければ、心地良い風を取り込むことも。
中庭にテラスやデッキを設ければ、リビングを拡張したような空間として、バーベキューやティータイムなど、様々な用途で楽しめます。
外壁でプライバシーテラスを作った間取り
延床35.39坪
一般的によく見られる、建物で囲われている中庭のタイプとは違う作りが特徴的。外壁で囲うことでプライバシーを確保している間取りです。
植栽も植えて緑を感じる中庭になっています。プライバシーを確保しながら、ちょっとした憩いの場としても活用可能です。
ガレージ空間+L字建物で中庭を囲った間取り
延床37.82坪
ガレージ空間とL字建物で囲われた中庭のある間取りです。L字建物で中庭を囲むことで、玄関や外部からの視線を遮断し、プライバシーを守ります。
一部にウッドデッキ、多くの植栽を計画し、座って緑を楽しめる中庭に。
椅子やテーブルを設置すれば、読書や家族や友人と団らんを楽しんだりできる憩いの空間になります。
中庭に大きな窓を設けたことで、リビング、ダイニング、ガレージに自然光を取り込む明るい空間に。窓を開ければ、風通しも良好です。
中庭のある家が人気の理由【メリット6選】
中庭のある家はなぜ人気なのでしょうか。ここでは中庭のある間取りを家に取り入れる、主なメリットを解説します。
通風や採光に優れている
家に中庭を設けることで、外に面した部屋が多くなり、採光・通風に優れた間取りの家になります。周囲が建物に囲まれていても、中庭があれば家全体に光や風を届けることが可能です。
また一般的に、日本の住宅は日当たりを考えて南側に庭を設けることが多くあります。しかし、奥まった立地では光が届きにくいケースも。
その点、建物が中庭を囲む構造であれば、中庭に面した部屋には方位や周辺環境に左右されず、まんべんなく光と風を取り入れられる点がメリットです。
外との繋がりが生まれ室内が開放的になる
中庭のある家は視線が中から外に抜けるため、外との繋がりが生まれ、室内が開放的に感じられます。一般的にコンパクトな土地に家を建てる場合、室内が狭く感じられがちです。しかし、中庭を作ると、視線が遠くに抜けて室内が広く感じられます。
また、家の床と中庭の高さや床の素材の雰囲気に統一感を持たせれば、ひと続きの空間のように広く使えることも。家の中と外の距離感が近くなれば、自然を身近に感じられます。
家族の憩いの場や来客時のおもてなしのセカンドリビングとして重宝するという声もあります。
プライバシーを確保しやすい
プライバシーの確保された空間でアクティビティを楽しめる点も、中庭のある家のメリットです。
ロの字型やコの字型の中庭は、家の中心に位置するため、庭に向かう外からの視線を遮る役割も果たします。密集した住宅地では、建物と道路との距離が近いので、プライバシーに敏感な方には欠かせない点でしょう。
また、中庭を中心に部屋を配置することで、外からのプライバシーだけなく、個室間の距離を確保し「家族同士のプライバシー」を守れます。
親と子供、兄弟姉妹、夫婦など、家族構成やライフスタイルに合わせて中庭を活用できます。お互いを尊重し、個人の時間を大切にしたい現代の家族にとって、理想的な空間を実現可能です。
子供やペットの安全な遊び場になる
中庭は建物に囲まれているため、子供やペットが安心して遊びやすいのが特徴です。
例えば道路に面した庭だと、車や人の往来が気になって遊ばせにくい場合があります。しかし、特に口の字型の中庭であればそのような心配がありません。
また、建物で囲まれた中庭は、外を通る人の目を気にせずに過ごせるプライベート空間です。家からは見守りやすく、外からの目は届きにくいので、小さなお子さんを安全に遊ばせる場として最適です。
もしも立地的に外からの視線が気になる場合は、外壁を高くする方法もあります。
多用途な空間として使える
中庭のある家は、子供やペットだけでなく、大人にとっても様々な用途に利用できる空間として人気です。
例えばバーベキューや庭キャンプなど、中庭があれば開放的な空間で食事や会話を楽しめます。天候が急変しても、すぐに室内へ移動できる点もメリットです。
また、ガーデニングや家庭菜園など、趣味に没頭できる空間としても最適。ハロウィンやクリスマス、花見など、季節のイベントに合わせて家族や友人と集まるのも良し。中庭があれば、暮らしがもっと豊かに、楽しくなります。
二世帯住宅では生活空間を分ける役割がある
中庭は、親世帯と子世帯の居住空間を分けつつ、行き来しやすい距離感を保てるメリットがあります。
従って、中庭を介してつながる二世帯住宅は、生活時間帯が異なる場合でも、お互いの生活リズムを尊重しながら快適に暮らせると人気です。例えば日中は中庭で過ごし、夜はそれぞれの部屋でゆっくりとくつろぐなど、ライフスタイルに合わせて空間を使い分けできます。
クッションのような役割を果たす中庭。二世帯住宅の理想的な関係性を築く際に役立ちます。
中庭のある家の5つのデメリット
中庭のある家には当然ながら、メリットだけでなくデメリットもあります。どのようなデメリットがあるのか、ご紹介します。
建築コストが増加しやすい
中庭のある家は、建築コストが増加してしまう点がデメリットです。
中庭を作るためには、中庭を囲む外壁や、中庭に面した窓が多くなります。従って必然的に外壁代やサッシ代も高くなります。
一般的に「ロの字型>コの字型>L字型」の順に、外壁や窓が多くなり、建築コストが高くなります。
発生するコストを洗い出し、家づくりの専門家と相談しながら自分や家族のライフスタイルや予算に合った中庭を設計することが大切です。
メンテナンスの手間がかかる
中庭のある家は様々なメンテナンスが必要です。例えば中庭に雨水が溜まらないように、排水設備を設ける必要があります。しかし、排水溝が落ち葉や土などで詰まってしまうと、中庭が浸水してしまう恐れがあります。そのため、定期的な清掃が必要です。
また、中庭があると、外壁の面積が増えるので、外壁塗装や防水などのメンテナンスも必要になります。中庭の形状によっては、足場を組む必要があるため、メンテナンス作業が大変になることも。
メンテナンスの手間を減らすためには、素材や設備などを工夫することが大切です。家づくりの早い段階から専門家にご相談ください。
居住空間が減る
中庭を設けるためには、中庭部分の面積だけでなく、そこにアクセスするための通路なども考慮する必要があります。そのため、狭い土地に中庭を設けると、必然的に居住スペースが狭くなってしまう点がデメリットです。
また家族構成やライフスタイルが変化した場合、中庭の使い方が変わってくる可能性があります。例えば、子供が独立した後に中庭があっても、あまり活用できなくなる可能性があるでしょう。
中庭のある家を検討する際には土地の広さや家族構成、ライフスタイルなどを十分に考慮することが大切です。中庭の大きさや形状、配置なども、居住空間への影響を最小限に抑えるように計画しましょう。
窓が増えて断熱性が低下する
中庭を設置すると外に面する部屋が増えるため、外気の影響を受けやすくなります。
断熱性が低いと、室内と外気の温度差が大きくなり、結露が発生しやすくなる点も要注意です。結露はカビやダニの発生原因となるだけでなく、建材を劣化させる可能性もあります。
快適な住宅を建てるためにも、断熱性能が高い住宅を提供している会社に依頼しましょう。
動線が長くなる場合がある
中庭を挟んで部屋が配置されている場合、洗濯物を干したり、ゴミ捨てに行ったりする際に、中庭を迂回する必要が生じます。また、子供が庭で遊んでいる様子を見たり、洗濯物を干したりするために、わざわざ中庭に出る必要もあります。
動線が長くなって、家事や移動に時間がかかると、非効率です。特に、雨の日や寒い日は、中庭を通るのが億劫になり、さらにストレスを感じるでしょう。
中庭を家の中心に配置する、生活動線を意識した間取りにする、動線短縮のための通路を設けるなどの工夫が必要です。
中庭のある家の間取りを考えるポイント
中庭のある家の間取りを考える際、何に着目したら良いのでしょうか。ここでは特に大切なポイントを紹介します。
希望の間取りを実現できる土地を選ぶ
中庭を作るには、一定の広さの土地が必要です。土地が狭すぎると、中庭を十分な大きさにできず、希望の間取りを実現できないかもしれません。
中庭の形は、土地の形状によって制限されます。例えば、細長い土地の場合は、中庭も細長くなることも。
また、中庭は周囲の環境に影響を受けやすいです。例えば、周囲に高い建物がある場合は、日当たりが悪くなったり、プライバシーが確保できなくなったりする可能性があります。
希望の間取りを実現できるか、土地選びの段階から専門家のアドバイスを受けることが大切です。
利用目的を明確にする
中庭をどのように利用したいのか明確にすることで、より効果的に活用できます。例えば、以下のような目的が考えられるでしょう。
・リラックススペース:ソファやテーブルを置いて、読書やティータイムを楽しむ
・家庭菜園:野菜を育てる、花や木を植えて緑を楽しむ
・子供たちの遊び場:遊具を設置して、子供たちが自由に遊ぶ
目的が決まれば、それに合わせた間取りを考えましょう。利用目的がはっきりしていれば「中庭の広さが足りない「中庭が広すぎた」といった後悔を減らせます。
外からの見え方を確認する
中庭は外からの視線を遮断してプライベートな空間を確保できるメリットがあります。しかし、コの字型やL字型の場合、道路や隣家から中庭が見える可能性があります。
特に、浴室や寝室などのプライベート性の高い空間が中庭に面している場合は、外からの視線が気になる可能性が高くなります。間取りを検討する際には、窓の位置や大きさ、目隠しフェンスなどの設置などを考慮し、外からの視線を遮断できるような工夫が必要です。
また中庭は、外からの侵入経路となる可能性もあります。コの字型やL字型の場合、侵入者が隠れやすくなったり、窓ガラスを破って侵入しやすくなったりすることも。
従って、間取りを検討する際には、防犯対策も意識する必要があります。例えば、窓に防犯ガラスを使用したり、センサーライトを設置したり、中庭から建物内が見えにくいような工夫を検討しましょう。
まとめ
中庭のある家を建てる際には、建築コストやメンテナンス性、断熱性、動線などを考慮する必要があります。今回紹介した間取りの事例やポイントなどを参考に、家族が快適に過ごせる中庭を検討してみてください。
注文住宅で中庭のある家の間取りを検討する際には、専門的な視点からアドバイスを得ることで、より良いアイディアを得られる場合があります。ご検討の際には、モデルハウスや完成見学会を実際に訪れたり、実績が豊富なハウスメーカーに相談したりして情報を収集しましょう。
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